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手渡された紙面を見てみると、そこにはでかでかとタイトルに〝計画立案者・藤堂芳樹(とうどうよしき)の言葉〟と記されていた。
さっと流し読みする。
ここを創設するに当たっての意気込みや、このアトラクションパークの見所は何かなど、記者による一対一の受け答えが記載されていた。
普通、友達と遊ぶくらいでここまで調べるだろうかと思うのも一瞬、ある一文に目を奪われた。
ここを創立したきっかけ、である。
――若い頃、私は世界を知りませんでした。世界を見ることは写真やテレビでなど、紛い物の真実ばかり。
だから、このアトラクションを創ろうと思ったのです。
若者が世界を感じ、これをきっかけに、世界へ飛ぶ者達への手助けが出来ればいいな、と思ったんです――
言葉の最後に、なにかの記事のくり貫きが貼ってあった。デカイ体に、サラサラした髪、くわえタバコに、整った顔。
「スゲーな、この人」
外見を含めて、思ったことを呟く。
しかし、観覧車のことについての言及は見られない。紙を折り目通りに畳んで返しつつ「で?」と短く訊き返した。
「世界を感じて欲しい、ってあったでしょ? あの観覧車が、藤堂さんの思いなの」
「……だーかーら、どういう意味だっつーの!?」
「まだわからないの? 風真は……」
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