[01] Wind of beginning

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 精一杯の勇気を振り絞り、声を前面に出そうと空気を肺へ限界まで送り込む。  なにか話さないと。  まずは無難に景色の話。  そう決心し、「しかし、スゲー景色だな。ほら、夕陽なんて――」と、夕陽に話題を持っていこうとしたその瞬間だった。  風真は突然に立ち上がり、ガラスに額を擦り付けて夕陽を凝視した。 「い、いきなりどうしたの?」  美空が驚いて顔を上げる。風真が醸し出す神妙な雰囲気に呑まれたのか、動揺した声が風真の耳に届いた。  しかし、風真は美空の言葉に答えられずにいた。 決して、無視したわけではない。  ただ、眼前の現実が――襲いかかってくる未曾有の脅威が、信じられなかったからだ。  振り返って、美空もその光景を見た。  そして、一言。呟いた。 「……なに、あれ?」
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