[01] Wind of beginning

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 そう。それは、紅に染まった太陽に浮かんだ、漆黒の点。  それは勢いよくと膨らみ、十円玉くらいの大きさになったところで、その恐怖は確信となる。  何かが降って来る――反射的に放った風真の「伏せろ!」という叫び声に反応し、美空は頭を抱えてしゃがみ込んだ。  刹那、爆発音と共に発生したであろう衝撃波が窓を割って、ゴンドラ全体を揺らしている。 目を瞑っていても、背中に降り注いで刺さる無数のガラスがあればすぐに理解できた。  ほんの五秒の出来事。  揺れが落ち着いたところで美空が体を起こした。 「おい……大丈夫か?」と風真は声をかけるが、大丈夫と言いたげに口を動かすだけ。声が出る気配はない。 「怪我は?」と問い直すと、二回、頭を頷かせた。無事ではあるようだ。 「なんだったんだ今の……」  震える美空をもう一度見る。何が起こったのかわからない自分と近い状況にある、ということはすぐにわかった。
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