213人が本棚に入れています
本棚に追加
そう。それは、紅に染まった太陽に浮かんだ、漆黒の点。
それは勢いよくと膨らみ、十円玉くらいの大きさになったところで、その恐怖は確信となる。
何かが降って来る――反射的に放った風真の「伏せろ!」という叫び声に反応し、美空は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
刹那、爆発音と共に発生したであろう衝撃波が窓を割って、ゴンドラ全体を揺らしている。
目を瞑っていても、背中に降り注いで刺さる無数のガラスがあればすぐに理解できた。
ほんの五秒の出来事。
揺れが落ち着いたところで美空が体を起こした。
「おい……大丈夫か?」と風真は声をかけるが、大丈夫と言いたげに口を動かすだけ。声が出る気配はない。
「怪我は?」と問い直すと、二回、頭を頷かせた。無事ではあるようだ。
「なんだったんだ今の……」
震える美空をもう一度見る。何が起こったのかわからない自分と近い状況にある、ということはすぐにわかった。
最初のコメントを投稿しよう!