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「赤は赤だし、地球は地球。私達が今見てるのは、確かに同じもの。でも、本当にそれは同じって言えるのかな?」
零れ落ちそうなオーシャンブルーの瞳は、悲しげに地球を見下ろした。
「一人……ううん。意思を持っていれば、一つの生命は、それぞれ違う、オリジナルの質感を持ってるの」
少女はコチラに近づいてきて、そっと、頬に手を添えてきた。
「不思議だよね。知りたいよね。でも、確かめることなんて出来ない」
頬をやさしく撫でてくる少女。
途中、左目の付近でその動きが止まった。
「私もね、出来ることなら、君の目を抉ってでも知りたい」
思わず、三歩後退する。
「でも、私は私で、君は君。
君の目を抉って覗いてみても、君の景色は見れない。
もちろん、君そのものになるなんてことも出来ない」
視線を、次いで体をこちらに向けて、少女は小さなその腕を目一杯広げてきた。
「けどさ、それでも私は知りたいんだ。私と違う人は……そう。例えば君は、世界をどんな風に見てるのかなって」
少女は、その見た目にそぐわない、不気味とも言える黒い笑顔を浮かべた。
「ねえ……君は、君のクオリアは、何色?」
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