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人の流れに身を任せるようにして下車し、慌ただしさの最中にある改札を抜け、予め決めていた待ち合わせ場所に移動した。
龍の石像前。
古谷駅前にあるこの石像は待ち合わせ場所として使われることが多い。
今日も、もちろん賑(にぎ)やかな雰囲気で溢れ返っている。
カップルや家族、友人など。
夏の日差しが照り付けるなかで、その老若男女の輪に入って行く勇気は湧くはずもなく、風真は人混みから少し離れた木の影に身を寄せた。
そこで待つこと十分弱。
暇潰しに読み始めた漫画からふと視線を持ち上げると、そこには風真にとって懐かしい顔ぶれがあった。
「久しぶりだな、美空に拓也!」
駆け寄って声をかける。
一人は、茶髪でウェーブをかけたショートカットの女子、姫宮美空(ひめみやみそら)。
もう一人は、女の美空よりも背が低く、ひょろっとした体型が印象的なおかっぱ、磯ヶ谷拓也(いそがやたくや)。
二年ぶりに見る二人の幼馴染みの姿は、中学校時代から殆ど変わりはなかった。
「うん、久っさしぶり!」
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