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「そっちはどうよ。拓也は結構ないい高校だったよな?」
「偏差値が全部を決めるわけじゃないよ。実際、置いてかれないようにしがみ付いていくのがやっとさ」
かぶりを振りながら言った拓也は、話題を変えるように「今、何時?」とどこか時計を探す仕草をする。
「現在、十二時四十分」
「お、じゃあそろそろだね。バス」
バス停までかけて行く拓也。若干その行動に違和感を覚えつつ「行こっか」と美空に手を引っ張られ、考えるのを止めた。
久々の再開だ。楽しもう。それだけを考えるようにした。
バスに揺られること数分。
すっかり変わってしまった町並みに哀愁を抱きながら、目的地の新東京リーズルランドに到着した。
バスを降りた風真達を出迎えたのは、白い支柱で囲われた、どことなく神秘的な雰囲気を醸し出している門だ。
「ほぁ……テレビで見るのと実際に見るのとじゃ迫力違うな」
「ここ、ロンドンにある大英博物館をモチーフにしてるんだって」
風真は、ふと売り文句を思い出す。
世界のテーマパーク。
毎日、テレビのCMなどで流れている〝ユニバーサルな世界へ、いらっしゃい!〟のフレーズは伊達ではないことを思い知らされた。
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