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入場料千円を払い、パンフレットが渡される。
そこに印刷された絵は一つ一つが輝いていているように見え、それだけで期待は充分だ。
「広っ……やっぱし、これ作って正解だったなー!」
美空はパンフレットを畳んで手持ちカバンにしまい、代わりに一枚の紙を取り出す。
気になり、風真は回り込んで後ろから覗いてみる。
その紙には、各アトラクションの平均待ち時間と今日の予定がビッシリと詰まっていた。
「うおっ……すっご!」
「一昨日、徹夜して作ったんだから。感謝してよね!」
こんなマメなことが出来る人間だったっけ、と疑問に思いながら他愛ない会話に興じつつ、人の流れに身を任せて歩み続ける。
そして、入場ゲートを潜り抜けて開けた新しい景色に、三人は言葉を失うことを余儀なくされた。
右手には、イタリアのピサの斜塔に似せて傾いた、フリーフォールタイプのアトラクションが。
その逆、左手には、幻の空中都市マチュピチュをモチーフにした地下迷路へ続く看板が。
前方には、ロンドンのウェストミンスター宮殿を模したランドマークが。
そしてその奥に、モン・サン・ミシェルを再現した山をベースとしたジェットコースターの影が見えた。
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