奇妙な夫婦生活

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あっという間に宿題と予習を終えた。見たこともない数式を簡単に解いていた。 「みてやるとこ、何もなかったな」 「今日の課題は数Ⅲだったからね、今度英語頼むよ。あんまり得意じゃないんだ」 「そうか?結構すらすら解いてたじゃん」 バーボン片手にチラッとノートを覗く。公式がずらりと並んでいて何のことやら全く分からない。よっぽど頭がいいのに・・・何でこのオッサンに興味があるんだよ。 「先生が自販機でジュース買ってきてやるご褒美だ。何がいい?」 「先生のジュース」 「なにエロいこといってんだか。小僧にはオレンジジュースだ」 裕輔のからまる腕を振りほどきながら外に出た。 さっきの顔・・・声、言葉・・・ビクッとした。なんていやらしい顔すんだよ! さっきのしおらしい真っ赤になった態度とは全然違うだろ! マンションの下に自販機がある。ジュースを買いながらまた溜息が出る。 今日、一度だけ寝てみようと思ったけど裕輔に落とされそうな気がする。もうとっくに自分は恋をしてしまっている。 自分に寝る言い訳をしたいだけだった。賭けに負けたいと思っている。改めて思い知らされた。 部屋に帰るまでに時間を要した・・・心を落ち着けるためだ。 今日、裕輔を家に帰そう。 ちゃんと理由を話して・・・俺の理性が保てないからと本当の事を云おう。 玄関を音を立てずに開けると押し殺した声がする。 「ん・・・・」 廊下から少しリビングのドアを開け覗いてみると俺のTシャツを咥えながら必死に自分を慰める裕輔の姿。 「せんせ・・・」 その手の動きは止まらずのぼりつめていく姿をずっと見入ってしまった。 裕輔・・・どうすればいい? 裕輔の行為が終わるのを待って部屋に入った。紅潮した顔で少しこちらを見ないようにしている。 「お・・・遅かったね先生」 「オレンジがなくて探し回った。ないからリンゴにした」 下手な言い訳をしたが、裕輔も嘘をついていたので突っ込んでくる事はない。 気まずい空気が流れて、缶ユースをを開けてテーブルに置いた。
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