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母はパジャマ姿で毛糸の緑のカーディガンをはおい電話に出た。
「おはようございます。
「はい、おはようございます。」
それは実家の経営する商社の顧問探偵からの電話だった。
「実は昨日のうちに連絡して起きたかったのですが。
他の身元調査で手間取りましてこの時間になってしまったことをお詫び申し上げます、
「どんな話ですか。」
「お見合いの件で。」
「相手は誰です。」
「県会議員のご子息です。」
「私には興味ありません。お断り下さい。」
「そんなことしたらお父上に私が怒られます。」
「どうして怒られるんです。」
「それはあなたには、不倫の息子がいることは知っておりますが。」
「不倫ではありません。」
「しかしあなたが二十歳前の息子ではありませんか、それでは不倫と同じです。」
「私は息子に今の仕事を受け継がせたい。」
「それは本当ですか。
息子が戻ったら結婚しますか。」
「あなたは何を言いたいのです。
もう電話は切りますよ。」
「お待ち下さい、この台風は今日の午後には症候状態になるそうです。」
「それがどうしました。」
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