帝国軍

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「撤退、だと。ここまで来ておいてか?」 「そうだ。敵戦力はお前らが殲滅し、飛行場は別の連隊が制圧した。よって、これ以上ここに留まる理由もない」 戦闘から一夜明けた快晴の朝 揺れる軍用車両の助手席で、不機嫌そうなルークが疑問の声を上げた それに対し、前方を見つめたままのラミルは、特に口調を変えることもなく切り返す 「なんの意味もなく俺たちはここで戦わされてたのか」 「無意味じゃないさ。ちゃんと収穫もあったし、今後の展開への牽制にもなる。死んでいった兵士たちも無駄じゃないさ」 未だ納得できない様子のルークであったが、車が止まると同時に助手席のドアを開ける 脚を地面につける前に、目の前の補給物資の山を見つめる 「この補給品の山も、苦労して設営したこの基地も、あっという間に積みなおしか。工兵と俸給兵も報われないな」 すでに前線から引き揚げてきた兵士たちでごった返す橋頭堡の喧騒を前に、小さく肩を落とす 「深く考えんなよ。なるようになるさ」 「だと良いがな。皇帝のご加護を」 さっと手を挙げて背を向けたルークは、自然な動作で兵士の流れに紛れていく 「皇帝のご加護を、か。上手い皮肉だな」 自身に向けられた当て付けの意味を察したラミルは、少しばかり悲しそうな表情を浮かべ、アクセルを吹かせた 彼の進む先には、部隊を回収する海軍の艦艇が所狭しと錨を下ろしており、木霊する警笛が、この星で散っていった兵士たちを鎮めているようでもあった
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