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断続的な駆動音が木霊する、暗い室内
設置された各種の機械では様々なランプが点滅し、この施設が今も稼働中であることが窺える
そんな無人の空間に、二人の人物がひっそりと忍び込んでくる
一人はメガネを掛けた若い白衣の男
もう一人はボロボロの作業着を着こみ、イグニス小銃を手にした男
彼らがそっと扉を閉め、次の部屋に続く取っ手をゆっくりと引く
「よし、連邦兵はいない。あと少しだ」
「えぇ、急ぎましょう。奴らに”アレ”を起こされる前になんとかしなくては…」
呟いた作業着の男に続き、厚手の袋を抱えた白衣の人物は力強く応える
静かに通路に飛び出た二人は、配管の陰などに隠れながら小走りで進む
角にぶつかるたびに先を確認し、確実に目的の場所へ向けて前進していく
数区画分移動したのち、赤色灯に照らされた扉前で立ち止まった男は、白衣の男に顎をしゃくる
「なんとか無事に辿り着いたな。上手い具合に警備兵がいない」
「ですね…。これを幸運と取るか誘導と取るか…。今の私にはわかりませんが」
「確かにな。俺たちが脱走したことはとっくにばれてる筈だが…」
周囲を警戒する男が冷や汗を垂らしながら言葉を零す
そんな彼の表情に緊張感を増大させながらも、白衣の男は平静を装い、壁のロック装置に暗証番号を打ち込んでいく
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