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「ダメです。やはり私のコードでは受け付けません」
「想定通り、か。強硬手段にでよう」
舌打ちした作業着の男は白衣の青年を下がらせ、イグニスの銃口をドアノブに向ける
二、三度引き金を引くと、破壊された錠が情けない音を発し、支えを失った扉がだらしなく口を開ける
その様子を満足げに見ていた二人は頷き合い、素早く室内に足を踏み入れる
「さて、ここからはどうすればいいんだ?」
「確か…こっちです。私についてきてください」
様々な機材が天井近くまで積み上げられた部屋の中を、白衣の男先導で進んでいく
周囲に視線を巡らせる男が白衣に人物の脇に並ぶ
「ごちゃごちゃしてるかと思えば、通り道だけはきれいなんだな」
「定期的に点検に入ってますからね。周りにあるのは正真正銘のガラクタですが」
迷路のような室内をするすると抜けていく白衣の人物に尊敬の眼差しを向ける
「なぁ、ここの研究者おぶっ」
ふと疑問に思ったことを口にしようとした瞬間、急に立ち止まった白衣の青年の背中にぶつかってしまう
「おいおい、黙ってストップしたらビビるだろう?どうしたんだ?」
「…手遅れです。連邦に先を越されました」
震える声で唇を動かす青年の目は見開かれ、表情を失った顔面は真っ白に色をなくしている
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