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「なんてことだ…!これじゃこの星はとんでもないこっ!……」
「伍長!」
突如として鳴り響いた銃声に、作業着の男の発言が遮られる
力なく床に倒れ伏した彼に駆け寄り、頭部から大量の血液を流す惨状に足を止める
「残念だったな帝国のお二人さん。脱獄の手順から、ここに辿り着くまでは実に優秀であったともうよ。君も、一介の科学者にしてはもったいないくらいの勇気だ」
白衣の青年が思わず後ずさってしまうと、彼の背後からコツコツと軍用ブーツの硬い音が近寄ってくる
慌てて後ろを振り向くと、硝煙が昇る銃口を向けた連邦軍の将校と、数人の兵士たち
「親衛隊め…!」
「ふふっ、そう睨まなくていい。モルモットはご主人様に従順でなくてはならない…そうは思わないかね?」
「なにを言っている…?」
「なに、研究を仕事にしている君に意見を聞きたかっただけだ。深くは気にしなくていい。なぜなら…」
さっと拳銃を研究者に向け、躊躇なく引き金を引く
とっさの事態に硬直してしまった白衣の青年は、腹に銃弾を喰らう羽目になり、ドサリとその場に倒れてしまう
「がっ、くっ…」
「君自身が実験の対象になるからだ。いい結果を期待してるよ、ふふっ」
拳銃を腰のホルスターに戻した将校は、部下たちに合図を出し、悠々とその場から去っていく
床の冷たい感触と、熱を持った腹部の激痛に襲われる青年は、目に涙を浮かべながら、離れていく彼らの靴を眺めていた
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