死者が蠢く星

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同時刻、同惑星 スペイン星系の北部に位置する惑星ビルバオの衛星軌道上では、殺到した帝国軍の艦艇が満員電車のごとく犇めき合っていた 地上に次々と物資を揚陸し、増援の兵員を降下させていく 引っ切り無しに飛び回る揚陸艦や小型舟艇の様子を眺めていたウルバマ少将は、静かに座席を立ち上がると、艦橋の中央に立つローレンツ副長の脇に並ぶ 「進捗状況はどうだね?」 「まずまずといったところでしょう。陸軍さんの増援部隊は地上に降り立ちましたし、補給物資のほうも予定通りでしょうな」 「お客さんもか?」 「えぇ、抜かりなく。歩兵連隊に紛れて前線に向かったようです。しかし、彼らはいったい…」 「私にもわからん。司令部の命令では、内密に届けろとしか言われてないからな」 顎に手を当てて答える初老の男性は、ウルバマ少将の歓待を補佐するローレンツ副長である 後ろに流された白髪に、細められた瞼の間から覗く鋭い眼光 帝国海軍の将官服を着こなした彼は、ウルバマが艦橋の窓に歩み寄るのを静かに見つめる 「戦況のほうはどうなっている?」 「先に上陸した陸軍第13、56、18師団が善戦し、連邦軍に大打撃を与えることができました。現在は敵が後退し、膠着状態を利用しての増強作業を行っております」 「そうか、順調のようだな」 淡々としたやり取りの中にも、ふっと顔を見合わせた二人の仲に小さな笑いが起こる 「嵐が来る、ですかな」 「よくわかったな。胃のあたりがムカムカするから、恐らくはろくでもない嵐だろうな」 「閣下の胃は危険察知レーダーのようなものですからな。私としても早く回復してほしいものです」 笑顔の直後に、さっと引き締まった表情を浮かべた二人は、厳しい視線を目の前の惑星に向けていた
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