死者が蠢く星

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そんな帝国艦隊の喧騒など露知らず、かつて近代的な景観を放っていた市街地を駆け抜ける、一台の車両があった 後部座席に工具や爆薬などを乗せ、運転席には魔術帽を被った美少女、助手席にはネコミミを生やした不機嫌そうな美少女、荷物の隣には綺麗な黒髪の美少女――ではなく美少年が、周囲の様子に目をやっていた 標高400メートルほどの高い地形が多いこの惑星では、年間を通して過ごしやすい気候がめぐってくる スペイン星系ないでも上位に入るほどの発展を見せており、戦場になる前はさぞやプレーヤーやNPCたちで賑っていたであろうことが伺える しかしながら、現在は帝国と連邦両軍の間で行われた激しい砲撃戦の前に崩れ去り、人気がまったく感じられない廃墟と化している ところどころにある炸裂孔や瓦礫の塊を避けながら、フラーヴィのハンドルを握るニーナは、慎重に車両を進めていく
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