死者が蠢く星

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「さてと。すぐに出発してもいいけど、なんか食べてからにするか。時間的にも昼だし」 「もうそんな時間なんだね。時間が経つのって早いなー」 ごそごそと後部座席に積まれた荷物を探り、中からビニールで包装されたパックを取り出す それをラミルと飛鳥に一ずつ手渡し、自身も薄い包みを引きはがす 「お、【照り焼きハンバーグセット】か。うまそうだな」 「あたしは【海鮮ドリアとサラダセット】だね。食べやすそうでよかったよ」 「【日の丸風丸の内弁当】って…。どっちなんだろう」 それぞれが手元の携行糧食に感想を述べ、膝の上に乗せた容器にスプーンや箸を伸ばす 「うん、うまい。タレの濃さが絶妙だな。この世界のレーションは食べやすくて助かるよ」 「ホントだね。あんなの、とてもじゃないけど進んで食べようとは思わないからね」 しみじみと語る二人を見ていたニーナが、咥えていた箸の先端を口から出して尋ねる 「現実世界でもこういうの食べたことあるの?」 「あぁ、少しな。だけどなんていうか…あれならドックフードの方がましかな」 「言えてるね。いつだったか食べた、日本のキャットフードと混ぜればちょうどいいかもね」 苦笑交じりに会話する二人を見つめ、視線を落としたニーナは黙々と端を動かしていった
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