死者が蠢く星

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腰の刀を抜き放ったラミルは、部屋の片隅にある階段に駆け寄り、音を立てないように素早く二階へと進む 散乱する家具などを飛び越え、通りに面した窓に歩み寄る 棚の上の物を床に落とし、ひび割れた窓を押しあける 追いついてきたニーナが木製の椅子を引きずってくる それを軽々と受け取ったラミルは、躊躇うことなく窓の外へと放り投げた 途端に派手な音を立てて砕け散り、その音に反応したモンスターが、大きな瞳をぎょろりと向ける ゆっくりとした動きで音源に近づいていき、付近を物色するように徘徊する 彼らの歩調に合わせて建物が小刻みに揺れていたが、それがピタリと止む その瞬間、窓から身を乗り出したニーナが、モンスター目がけて爆裂魔法を勢いよく撃ち放った 二体の中間付近に着弾した魔法の塊は、爆発の衝撃でモンスターを左右に吹き飛ばし、両側の建物に大きな損害を与える 窓から離れるニーナと入れ替わるように、縁に手を掛けたラミルが無駄のない動きで空中へと飛び出し、昏倒するモンスターの脇に着地する そのまま手にしていた刀を振りかざし、立ち上がろうとするモンスターの首元に一気に振り下ろす ゴトリとした重量感のある振動が足元から伝わり、動きを止めた屍から視線を外す 道の反対側では、飛鳥がサイクロプスの首に短剣を突き刺している所であった グリグリと深く押し込むたびに呻き声が聞こえていたが、やがては事切れたらしく、物言わぬ肉の塊へと落ち着いた
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