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「さて、やることもやったし、移動しますか。バステト」
《にゃ。さぁみんな、早く僕の背中に乗るんだね!》
脚を折り、地面に伏せったバステトが催促するようにはしゃぎ始める
その様子に溜めい息をついたラミルが首元に座り、続いてニーナが、最後にバッグを担いだ飛鳥が腰を下ろしていく
《よさそうかにゃ?》
「あぁ。なるべくモンスターや敵に見つからないように頼む」
《任せるんだね!いざいかん、だにゃ!》
一度体を大きく震わせたバステトは、ひげをピーンと伸ばし、隣の屋根目がけて跳躍する
「うは…」
「………」
「わー、たかーい!」
三者三様の反応を見せた彼らは、巨大な猫の背中に揺られて味方の偵察隊の元へと向かっていった
同時刻
惑星ビルバオ衛星軌道上
「やはり、効果はないようですな」
「うむ。だから無駄だといったのだ。それなのに上層部の奴らめ…」
冷めた表情で艦橋の外を見つめるローレンツ副長の傍ら、眉間に皺を寄せたウルバマ少将は怒りを込めた声を絞り出す
先ほどのイベント通知を受け、突如として展開したプラネットシールドに阻まれた帝国艦隊は、補給作業を中断して軌道上に後退していた
事の展開を受け、侵攻作戦の海軍責任者であるウルバマ少将は、海軍司令部にシールドバスターを装備した艦隊の援軍要請を出した
しかし、彼らに返ってきた返事は、「現全兵力を以てシールドの破壊に努めよ」という、なんとも無意味な命令であった
渋々ながら承諾した彼は、戦艦から駆逐艦の対空機関砲に至るまで、文字通り全ての火砲によって攻撃を命じた
だが、結果は上記のとおり
「この分だと、シールドバスターでも破れるか微妙なところだな」
「そうですな。一応ですが、上は陸軍とシールドバスターを装備した艦隊を増援として出港させた模様です」
「陸軍だと?惑星に降下できないのに地上部隊を寄越してどうする」
「なんでも、第9師団が乗ってるとか」
「…氷の女王か。ますます何を考えているのか分からん」
素直な感情を漏らしたウルバマとローレンツは、再び艦橋越しに惑星を見つめる
そこには、各所から煙を上げ、痛々しい姿を見せる球体の姿があった
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