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特徴的な先端の魔術帽を被り、生地の厚そうなローブを着こなす
手には地味な装飾が施された杖が握られている
パッチリした黒い瞳に、同色のセミロングヘアー
ラミルと並ぶと若干身長差がみられる少女は、呆れたように二人を見つめる
「あの人たち、大丈夫なのかな。ファーストアタックはベテランのプレーヤーに任せた方がレイドが安定するのに…」
「欲に目が眩んでるんだろ。初見でベテランを失うより、あぁいうクズにやらせた方が効率はいい」
指揮を執っていた騎士の男も同じ考えらしく、一言注意を与えただけで潔く先手を譲っている
何事か会話を続ける男たちを他所に、レイドパーティーのメンバーたちは各々の得物を構える
これまでの戦いの教訓を生かすように、ボス部屋へと通じる扉から大きく後退する
市街地のど真ん中にぽつんと浮かぶ重厚な扉は、明らかに異質な存在である
だが、様々な深淵ダンジョンを攻略してきた面々にとっては、それほど問題でもないようだ
男たちが扉に近づくにつれ、バフを掛ける支援ジョブの詠唱が咲き乱れる
色とりどりの光が寂れた市街地を照らし出す
ラミルも少女の詠唱を受け、刀を引き抜くと両手で構えて静かに息を吐く
両側に立った男たちがゆっくりと取っ手に手を掛け、緊張したように身長に押し開けていく
扉が動く軋んだ音に合わせ、レイド全体が左右にじりじりと下がっていく
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