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「なんだ、お前本人に会ったことあるのか?」
「あるよ」
驚いたように顔を見つめるルーク
「いいな。俺も一度会ってみたいな。どんな人なのか知りたい」
「お前も知ってるよ。てか、そこそこの教育を受けてきた人間なら誰でも知ってるさ」
手にしていた書籍を閉じ、ルークの方に無感情な視線を送る
「どういう…ことだ?」
その黒い瞳を直視したルークは、震える声で尋ねる
そんなルークにはお構いなしといったラミルは、含み笑いを浮かべながら小さく口を開く
「天才は、いつだって世の中のはみ出し者さ。そりゃそうさ、彼が行ったことは人道に反してた。英雄的な支配者か、世紀の大犯罪者か。歴史は面白いよな」
「な、なにが…?」
目を大きく見開いたルークに軽く手を振り、この話はお終いだというように目を瞑る
「知らない方がいいこともたくさんあると思うぞ。俺はひと眠りするよ。なんかあったら個人チャットで起こしてくれ」
すぐに小さな寝息を立て始めたラミルに溜め息をつき、ゆっくりとした動作でタコツボから這い出る
「…作戦には支障を与えるなよ。戦友に免じて、今の事は黙っておいてやるよ」
苦々しく漏らされた呟きも、夢の世界の住人には届かない
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