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兵員を腹に抱え込み、ライノーが次々と腰を上げる
脚を折りたたんで塹壕に埋没していた重戦車の車列は、対岸から撃ち込まれる銃弾をものともせず、浅い川へ踏み入れていく
鼻の位置に取り付けられた二門の砲門が数秒間隔で砲弾を放ち、備え付けのチェーンガン数丁が縦横無尽に敵陣を切り裂く
胴体側面に設けられた銃眼にも海兵たちが張り付き、自身の小銃を突き出して敵兵を撃ち倒していく
渡河部隊が川の中ほどに差し掛かったころ、彼らの上空を幾つかの物体が横切った
翼を翻して急降下を始めたそれらは、艦隊から発艦したファイアフライの編隊であった
先頭を飛行する二機が地上に激しい機銃掃射を加え、後続の四機が大量の爆弾を撒き散らす
たちまちのうちに敵陣は猛烈な炎に包まれ、弾け飛んだ樹木が水しぶきを上げて川に落下する
その様子を静かに見つめていたバイエルンは、さっと立ち上がり、待機していた海兵たちに視線を向ける
「連邦軍の攻撃が怯んだ。先遣隊に続き、我々も渡河を敢行する!総員私についてこい!」
小銃を高々と上げたバイエルンは、湿った地面を蹴散らし、柵を越えて川に飛び込んでいく
雄叫びをあげた他の海兵も彼に倣って我先にと突き進んでいく
より激しくなった対岸の爆発音を聞き流しながら、ラミルは銃を地面に置く
その場にゆっくりと腰を下ろし、周囲を照らす炎の色と、闇夜を動く人影を見つめる
「終わりかな」
ポツリと呟いたラミルの言葉が現実になるのは、それから二時間後の事であった
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