襲い嫁との生活

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いつものように勤めに出て、久保田さんが一杯の珈琲を入れてくれる。タブレットで新聞を読みながら経済動向を見ていると、久保田さんが顔をのぞきこんできた。 「ん?なんかついてる?」 「いえ、係長この頃顔の色つやが良くて、イケメンにさらに磨きがかかったっていうか・・・フェロモンが出てるっていうか」 「なんだそりゃ?でも健康そうってことだよね、今元気だよ。その節はご心配かけました」 「どっちかと言うと健康じゃなくて、恋をしてるってカンジかな」 んー!鋭い。久保田さんの洞察力にはいつも感服する。恋愛に関してだけだけど。 「先輩、恋してんっすか?もしかして前の子と上手くいったとか・・・」 ニヤニヤしながらやってくる。相変わらず佐野はお喋りすぎる。 「ア・・・ははは、そうだな。そんな感じ?」 「え?係長、彼女が出来たんですか?」 「押し掛け女房ですよね~」 嬉々として喋っている佐野・・・後で締めてやる。 「それはびっくりだな」 向こうの方から声がして近づいてくる。丸山だ・・・ゲイだってバラす気か? 「奥手だと思ってたのになぁ~!人はみかけによらないねぇ」 しらじらしい言葉を並べる。何を企んでいやがる。 「薬指に指輪までしちゃって・・・その子にメロメロってカンジか?」 「丸山には関係ないだろうが」 「関係おおあり、俺、宮城野狙ってたんだよ」 あっさりと、さらりと言いやがった。 でも以外と周りの反応は嫌がる風でも無く普通だった。 「丸山さんにあげるくらいなら、私達融資部女子全員で絶対阻止しますよぉ!何せ宮城野係長は融資部のアイドルですから」 「アイドル?」 「そうです!みんな大ファンですよぉ」 「そ・・・そうなの?ありがとう」 「もう先輩モテモテっすね。俺もあやかりたい」 「お前も彼女いるだろうが」 「えっ?そうなの?この冴えない佐野くんが?」 「先輩~!久保田さん酷過ぎですよねぇ」 「久保田さん、蓼(たで)喰う虫も好き好きっていうだろ?」 「そうですね」 「先輩まで~!酷いっス」 そのうち丸山がいない事に気がついた。アイツ・・・なんかしかけてきそうな気がする。
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