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電車の窓に映る自分は何故か泣いていた。
どうして涙が出るんだろう?
いつか裕輔に飽きられる・・・それをわかっていても止めようのなかった気持ち。
丸山に云われて改めて確認させられた気がする。
いつか飽きられる恐怖・・・でもそれは他人(ひと)を本気で愛したら誰もが感じる幸せだけど切ない悩み。
この思いを自分は消化できるのだろうか。
なんて自分は子供なんだろうと改めて思う。歳ばっかりくって何も学んでなかった。いや、逃げてきたんだ。
正面からぶつかっていこうと覚悟が出来てきた。これからいろいろな壁がやってくるだろう。それを乗り越えてやる!
ストンと心の中に落ちて沁み渡った。
早く帰ろう・・・裕輔の笑顔が待っている。
鍵を開ける前に呼び鈴を鳴らす様になった。開けると声がする。
「おかえりなさ~い」
「・・・指どうした?」
「野菜切ろうと思ったんだけど失敗した」
「作んなくていいから、下のコンビニで斬った野菜くらい売ってるよ」
「んー!ごめん。俺不器用で」
「航耶さん眼赤いけど大丈夫?」
「ん、大丈夫。帰りゴミが入って大変だった」
「なんか困った事があったら言ってよ。俺じゃ頼り無いかもしんないけど」
「うん、わかった」
いうのを待たずに唇を塞がれた。そのまま身体ごと引き寄せられて口腔内に舌が侵入してきた。
「んん・・・ゆ・・・すけ」
やっと唇を離したかと思うと耳元で囁いた。
「おかえりなさい」
なんかこそばゆい様な・・・甘い、身体が蕩けそうになる幸せな気分がした。
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