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【恋したい、青春したい、でもできない】
自分の現実をノートに書いてみた。
「・・・ぷっ・・・くくくっ!」
これを見た友達が笑い出す。
「ちょっと、笑わなくてもいいじゃん」
「いや、だってこれは・・・ぷっ、あはははっ!」
「もう、美香!」
「ごめん、ごめん」
美香ったら、他人事だと思って・・・。
今、人のノートを見て笑ったこの子は、加藤 美香。そして、笑われた私は、姫野 舞です。
私達は今、青春の真っ最中っぽい高校1年です。入学式はもう過ぎ、夏休みの二日前です。
「まぁ、そんな気持ちも分からなくはないけど・・・私は、大好きな人がいるし・・・」
「大好きな人か・・・。そういえば、美香その大好きな人について何にも教えてくれないよねー・・・」
「うっ・・・そっその話は終わって、舞の話をしようよ」
「えー、まあいいけど」
美香が助かったとでも言うように息を吐いた。
「・・・青春は学校生活おくってるところで出来てるんじゃないのかな・・・?」
「・・・違うよ・・・・青春っていうのは、恋をしたからこそ始まるんだよ。好きな人が出来るからこそ始まるんだよ。ドキドキするからこそ始まるんだよ。わかるっ!?」
顔が本気だ。
「・・・うーん、どうだろう。わかるようわからないような・・・あはは」
美香が苦笑いで言った。
「・・・ごめん、ちょっと熱くなりすぎた。頭冷やしてくる・・・」
席を立って扉の方に向かった。
「どこ行くのー?」
「頭冷やすのに、裏庭に出て風にあたってくるー」
「そう、いってらっしゃーい。次の授業に遅れないようにねー」
「うん、わかったー」
いつも通り、軽く返事をして教室を出た。
美香はいつもあんな感じで、さりげなく心配してくれたりと気を使ってくれる。
あんな私の話も流さずにしっかり聞いてくれるし、見た目も可愛いし、お世話焼きで、私がお嫁に欲しいほどだ。
そんな美香が大切な人だというその人は幸せものだ。誰かわからないけど、私は親友として、美香の恋を応援するぞ。
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