第1話

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白い花弁が不規則に空から落下している。頬に当たると冷たい。指で触れると解けて、水滴となったそれは季節が完全に冬になったことを伝えていた。 雪が降ることは嫌いではない。例えば、いつもの学校からの帰り道に見る田んぼが白一色に染まっているのを見た時、静かな気分の高揚を覚える。そこに何物にも荒らされておらず、歪みのない白銀の世界を見るのだ。 今年も、綺麗な雪景色が見られるかもしれない。音無沢伎はそう思って嬉しくなった。 今日も一人で白馬高校へ向かっている。
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