「苦手だ」

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「その……。だから、せ、生理……とか、直接言わないで欲しい、っていうか。  その、もうちょっとオブラートに包むとか、出来ないかな」 「言ったじゃん。俺、そういうの苦手だって。  てゆーか、それくらいで恥ずかしがってどうすんの。  宮本って絶対、セックスとか言葉だけでも言えないタイプだろ」 「セッ―――」  思わず言葉が出なくなった。  またあっという間に耳まで熱を発していることに気付き、我ながら恥ずかしくなる。  それと同時に、とてつもなく悔しくもなった。  こんな奴に踊らされた挙句、思い通りの反応を返してしまったであろうことが、ひどく悔しくもあり情けなかった。  そんな感情が湧いてきた所為か、あたしはやけくそ気味に俯きながら言葉を発していた。 「だ、男子はいいよね、本当。  女って生き物がどれだけ大変か、全然知らないでしょ。  すごいつらいんだよ、その……せ、生理痛とか」 「ふは。対抗してきやがった。面白い奴」 「う、うるさいな。  とにかく、本当羨ましいよね、男子って!  お気楽に女の子のケツ追いかけとけば、それだけで満足なんだからさっ」 「案外、そうでもないな。  性欲強い奴とか、それを処理するのにかなり苦労してるらしいし。  欲求不満ほど、怖いもんってないと思う」  あたし達は、一体なんの話をしているのだろう、と話しながらも疑問が湧いてくる。  どうして苦手な男子と、こんな訳の分からない「男子の苦労とは」について語らわなければならないのか、一向に理解出来ない。
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