「苦手だ」

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 それは、まあ、そうだけど、と思わず言葉に詰まる。  相変わらずフラストレーション溜まりまくりの友理は、苛立ちをオーラのように周囲へ放散しながら、恐ろしいくらい殺気立っている。  一時でも好きで付き合っていた相手へ向けているものとは思えないほど、彼女は元カレに対して腹を立てていた。 「朋子、牡丹、あんた達は絶対に、あんな未練がましい男とは付き合っちゃ駄目よ。  その前に、好きになっちゃ駄目よ」 「あぁ、うん」  なんとなく、生返事のような声が出た。  真剣に話している友理は、何処か不満そうに眉を寄せている。  隣で話を聞いていた牡丹は素直に頷いていたが、首を傾けながらじっと不思議そうにあたしのことを見ていた。  自分が今感じていることをどう言葉にすればいいのかと悩み、ふと一瞬だが妙な間が空く。  もごもごと少しだけ口を動かしてから、ようやく見つけた言葉達を不格好に繋ぎ合わせた。 「なんていうか、それは、別れることを前提にした時でしょ?  別に、高校生の恋愛がずっと続いて、そして結婚するとかは思わないけど。  気持ちよく別れることも、努力次第では出来ると思うし、せっかく誰かを好きになるならやっぱり長く続くことを考えていたいじゃん。  だからさ、終わりを前提に考えるんじゃなくて、続いていくことを考えて付き合っていけたらいいんじゃないかなぁ、なんて」  すべて言い終えてから、なんとなく気恥ずかしくなって、誤魔化すようにはにかんだ。  隣でぽかんとしながら聞いていた牡丹は、ふわりと微笑みながらうんうん頷いている。  友理は、しばらく渋い顔で唸っていたかと思うと、何処か納得したように少しだけ表情を緩めた。
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