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「由宇」
もう一度、私に手を伸ばしてきた。
バシッ。
私は容赦なく竜哉の手を叩く。
「そんなに軽々しく口にしないで!」
気付くと頬に涙が伝っていた。
そんなに簡単に。
なんでもないように言ってほしくなかった。
どうせまたからかってるんでしょ?
悔しくて……ただ悔しくて。
涙が止まらなかった。
おもちゃをとられた子供と同じ。
それが欲しいんじゃない。
人に持っていかれそうだから惜しくなってしまっただけ。
ただ、それだけのこと。
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