1人が本棚に入れています
本棚に追加
6月の梅雨時
雨と湿気で鬱陶しい日が続く
放課後、私は図書室にいた。借りていた本を返し、次の本を借りる為、本棚へとむかう
たくさん並べられたら本、とりあえず目に付く題名のものを数冊手に取り席に座る事にした
パラパラ…
本をなんとなくめくる
「…グヲ…グー…グー…」
「(…は?)」
いびきの音が聞こえる…ここ図書室だよね?
「(なんかすっごく近くから聞こえる…)」
横をチラッと見ると
「あ…」
思わず声がでてしまった…彼である。彼が私の隣で寝ているじゃないか
「(えっと…名前はー……)…都城〔ミヤシロ〕…君?」
図書室なので聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呼んだけど…反応がない
「お、お~い。都城君ー…」
少し体を揺らす…でも起きない
どうしたらいいのかわからず、彼の体を揺らし続ける
パシっ!!
「っ!?」
手を掴まれた。刹那の出来事だったのでえらくビックリ
「…んー…ん??」
彼はようやく起きた
「あー…おはよ」
起きたての低い声にドキッとした。いや…まだ私の手を掴んでいるという事実にもドキドキしている
暖かく大きな手…
「寝ちゃってたか俺」
「あの…」
「ん?あ、向井(ムカイ)が起こしてくれたんだ、ありがとな」
名前覚えててくれたんだ。すごく嬉しかった
そして、この笑顔を間近で見られたことにもすごく喜びを感じた
「…都城君…手が…その…」
私のその言葉を聞き、彼は「ごめんな」と少し照れ笑いをしながら手を離す
なんだろ…
すごく心が暖かい
彼の仕草ひとつひとつに目がいく
ああ私、彼に恋したんだ
都城陽太(ミヤシロヒナタ)君に
最初のコメントを投稿しよう!