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「おはようございます、美樹子さん。今日も良い天気ですね」
テレビで言っていた。
仲が悪い人間とは、天気の話から入るとスムーズいくと。私はこの女に神経を使っていた。
「あらー、お宅は本当に、ゴミ捨てが遅いわねぇ。前の奥さんの朋子さんは、しっかりとやっていたわよー? 働きにも出ていたし、介護にも苦労して……貴方は本当に楽してて良いわよねぇー」
この女には、天気の話も通用しない。いや、どんなアイデアも美樹子という相手には、まるで通じないのかも知れない。
前の妻と比べることが、こいつの会話の殆どだ。
「すみません、気をつけます……買い物に行きますので、これで」
会釈し、この場を去った。
本当は、こんな女に頭を下げるのも嫌だった。その度にプライドがズタズタに傷ついた。
腰のくびれ、豊満な胸、艶やかな髪の毛。細い足、しなやかな指。男が抱きたくなるような色白の肌。整った顔……拓也を手に入れるために努力してきた。今でもね。
でも貴方はどう? なにかを苦労し、常に向上心を持っているのかしら?
私にやきもちを妬く暇があったら、まずは同じ土俵に立てるぐらいの取り組みをすることね。
前の妻から拓也だけではなく、新築まで奪ったが、あんな隣近所がいるなんて、それだけが計算外だったわ……
ああ、ついでにあの子供もね。
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