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あれから何度か先輩を見かけたけど話しかけることもできず……それどころかつい隠れてしまう。
竜哉からも先輩からも逃げている。
そんな自分がすごく嫌なだった。
ハァ……
出るのはため息ばかり。
奈津美が気にするのでわざと平気なフリをする。
竜哉の声がやたら大きく聞こえる。
ドクンドクン
意識が妙に竜哉に傾く。
「私、職員室に呼ばれてたんだ」
急に立ち上がった私に奈津美が「ついていこうか」と言ってくれた。
でもそれを断って一人、教室を出た。
多分、奈津美は気付いている。
私が職員室に呼ばれてなんてないことを。
だから私が断ったらすんなり見送ってくれたんだと思う。
私は行く場所もなくただ足の向くままに歩いていた。
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