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夕刻、茜色に染まる校舎に人の影は少ない。
ほとんどの生徒は、帰宅または部活動に勤しみ、校舎内からはそのほとんどの姿を消している。
もちろん、文化部や生徒会などはまだ校舎内に残っているはずだが、それらの活動場所として使われるのは、基本的に特別棟であり普通棟に残る者は少ない。
しかし、そんな普通棟に一部屋だけ現在使われている異質な教室が存在した。
普通棟四階の一番奥、本来なら机や椅子をしまうための倉庫として使われるはずの教室に、四人の生徒の姿あったのだ。
彼らは、倉庫と呼べるほど、物の置かれた教室で、どこからか引っ張り出してきた机と椅子を自分たちの分だけ並べ座っている。
そして、暇を持て余し、それぞれが関係のない作業を行っていた。
一人は、机に突っ伏し寝息を立てる少年。
一人は、課題を目の前に唸りを上げる少女。
一人は、椅子を傾け軋んだ音を立てる少年。
一人は、文庫本を静かに読みふける少女。
異様な静けさの中に、寝息と唸り声と椅子の軋む音とページをめくる音が響くことで、異質な空間を作り出しているのだ。
そんな異様な空間を引き裂いたのは、椅子を軋ませる少年の言葉だった。
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