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ティラは、注意深くカプスを観察した。
カプスには、隙がない。
儀式の最中で武器を持っていないために対抗は無理だと判断する。
「貴方は、私を殺しに来たのね?」
先程の攻撃を見る限り、カプスは本当に自分を殺しに来たのだと結論付け、ティラは慎重に言葉を紡いだ。
カプスが、口許を吊り上げる。
「どちらかというと、そこにいる栗鼠を始末するのが僕の役目でね。君は、そのついでだよ」
「そういうこと。なら、この栗鼠がいなければ私は狙われないということね?」
ティラは、ロウを掴もうと手を伸ばす。
しかし、ロウはその手をすり抜けて、ティラと距離を置いた。
「そうだな――君があの話を聞いていなければ殺す必要はないのだけれど」
カプスが、答えを返す。
「うるさい。裏切り者に応える義理などない!」
ロウが、怒鳴る。
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