シーン2からシーン3までの間

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「監督、その」 「なにかな?」 「いえ、あの」 「あっ、上坂! 次はあれに乗らない?」 「小さいジェットコースター、ですか?」 「あぁ。人も少ないし、すぐ乗れるかも」 「じゃあ乗りましょう」 「あのさ上坂。弟の件なら本当に平気だから」 「監督……」 「そりゃ誰だって怒るよ。人の用事を蹴っておいて、漫画の場所を聞いてくるなんて」 「いえ、私が気にしているのはそこではなく」 「あれ? 弟に何て文句を言うか考えていたんじゃないの?」 「違います。あの、さっき監督に対して失礼なことを」 「えっと、どの辺りのことかな?」 「どの辺りって。まさか私、気付かないうちに他にも迷惑を」 「違う! 違うよ! 心当たりがないからそう言っただけ!」 「本当ですか?」 「本当だよ! むしろ、今日は上坂の話をいっぱい聞けて嬉しいよ」 「私の話?」 「うん。上坂がどれだけ弟を想っているか、ってね」 「……すみません」 「え?」 「弟の話ばかりして、すみません」 「いいよいいよ! 僕も上坂の弟がどんな子か気になってきたし」 「……」 「えっと、とりあえず順番が来たから」 「はい。乗りましょう」 「……く、空気が重い。僕のフォロー力が足りなかったか」 「……」 「な、なんとかしないと」
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