3/4
前へ
/137ページ
次へ
「・・・なに?」 眠そうに体をゆっくり起こしたその人は一言だけそう言って立ち上がった。 「あ、ごめん・・・こんなとこで寝てたら風邪ひかへんかなぁって・・・」 「別に・・・俺、風邪ひいたことねぇし。」 「うそっ、そんな人おらへんって」 「いるじゃん。ここに」 ふはっ。 鼻で笑われてちょっとムカつく。 「そ、そうですか。」 「あ、まって」 心配して損した。この人ムカつくからここから離れようと思ってたら その人が近づいてきてすっと片手を動かした きゅって目を閉じたら、私の頭にふわりと彼の手が触れた気がして、そぉっと片方の目だけ開けてみたら 「ほら、桜のはなびらついてた」 指でピンクのはなびらをつまんで私に微笑んでいた。 それが、私【山野咲良】と彼【山上司狼】の出会い。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

390人が本棚に入れています
本棚に追加