夏の日

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「岡崎さん、親ごさは知ってんだべが?」 「いえ、まだ…今、別居状態で話をできる状況じゃなくて」 「航耶と違って若えし、まだ大学生だろが。お許しにはならんのでねが?」 「わかりません。でも納得してもらうしかないんです。俺、航耶さんじゃないと…駄目なんです」 黙って裕輔の話を聞いていた。 おもむろに小さい母がデカイ裕輔の頭を撫でた。裕輔も思わずビックリして戸惑っている。 「ありがとうな、こん堅物で融通の効かん子だば宜すぐな」 「いえ…こちらこそ」 みるみる裕輔の眼に涙が溢れる。母に認めて貰えたことで少し肩の荷が降りた。夕食を終えて片付けが終わると二階のアパートの一室の鍵を渡された。 「布団は買っただに、これさ持っていぐべ」 布団を一組みづつ持たされて二階の一番奥の部屋に案内される。 「ゆっくりしてきなされ。朝ごはんに降りておいでな」 「はい」 裕輔は元気よく答えた。 部屋は何もなくがらんとしていたが綺麗だった。ふた組の布団をしいて横になるとすかさず裕輔が乗っかってきた。 「航耶さん、ありがとう」 「ありがとうを言うのは俺の方だ。お袋の心を開かせたのはお前だ」 「でも、結婚を前提に付き合ってるって…結婚したいって言ってくれて…超嬉しかった。お母さんもいい人だね。嫌われると思ったのに…許してくれて」 「それはお前の人徳だ」 裕輔だからこそ母はなにもいわなかったのだろう。そんな魅力のある不思議な子なんだ。 「ねぇ…航耶さん」 「ん?」 「Hしよ」 「なっ!!お前は…//」 「お. ね. が. い」 そういう顔すんな。また流される。裕輔の顔が近づいて唇を奪われる。この頃この口づけでもう躰が蕩ける。上手い…もう目眩で動けなくなるほど甘い。 「んんっ…」 舌が絡み合う。手は器用にシャツのボタンを外していく。 ここまで来るともう二人は止まらない。薄い壁ごしを気にしつつも愛し合うことに躊躇はなかった。満たされる・・・この幸福感。苦しいけど愛しい人で満たされている満足感が快感となって身体を支配する。 「ゆうす・・・け」 「こうや・・・さん、最高」 「ばか//」 恥ずかしい事をぬけぬけと言う。でもそこも可愛い。
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