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 「…でもおまえは違ったみたいだ。再会して記憶が戻った瞬間から、直感的に「ああ、こいつだ」って思えたんだ。まるで自分の中で欠けていた、最後のピースが埋まったみたいにな。やっと戻ってきた、そんな感じだった」  こういちは、慈愛に満ちた瞳で僕を見つめ、手の甲で僕の頬を撫でた。まるで赤ちゃんと母親みたいな構図だ。僕は彼の言っている意味が半分しか理解できなかったけれど、まっすぐ視線を向けてくる彼に、心が安らぐのを感じた。  「…正直言うと、記憶に感情がまだついてきてないんだ。でもおまえは、「好き」という気持ち以前に、自分にとってものすごく重要重大で、とって代えられないほど大切な存在なことは確かなんだ。それはこの3年間、痛いほど感じたよ」  彼は自嘲的に笑いながら、ソファで話そうか、と僕に手を差しのべる。僕はそれをつかんで立ち上がろうとしたが、力が抜けてしまってうまくいかない。  「あ…れ…っ」  「立てない?」  「そ、そうみたい…ごめん」  彼のそうか、の声にうつむいた隙に、僕は背中と膝下に腕を差し込まれ、軽々と持ち上げられてしまう。  「…ちょっ! 何やってん」  「お姫様抱っこ。立てないんだろ?」  「そうだけど! でもっ…」  「まぁそんなに怒るなよ。それもこれも、おまえがこんなに軽すぎるのが悪いんだぜ。背がこんなにあって、体重が女よりも軽いってどういうことだよ。今何キロなんだ?」  「……43」  「ばっ、ちゃんと食えっ」  僕はそのまま楽々とソファまで運ばれてしまった。そして、こういちと身を寄せ合うようにして座る。肩に置かれた彼の腕も、彼の腰に回した自分の腕も、空白を埋めるように一ミリの隙間もない。  もう一度、どちらからともなく顔を近づけて、撫でるように唇を重ね合った。もうこれが夢でも構わない。こんなに幸せ過ぎる夢、見せてくれただけでもありがたいと思う。  甘えたくなって、彼の大きな掌を握った。彼は応えるように握り返して、僕の髪にキスをする。  「おまえ…本当にでかくなったな。背だけは」  「なにそれ。どういう意味?」  「あの日と変わってなくてよかったって意味だよ。…可愛い」
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