気付けない気持ち。

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降りつける雪の数も減ってきた頃。 2月14日のバレンタインを終えて、ユウの転校も終えて今は2月20日。 そんな日にあたし、牧田汐里は… 「あーーーーーー!!!」 非常に、イライラしていた。 「なんなのよあいつ!!」 ――また今度、何か作ってみてくれよな。 「あたしはっ…!! 買い物のお礼にチョコ渡しただけで!!」 「あいつに気があるとかっ!! そういうんじゃないわよっ!!」 そうよ、大声で言ってはっきりした。 あたしはあいつが嫌いで、あいつもあたしが嫌いで。 それでいい…それでいいはずなのに 「なんでこんなモヤモヤしてるのよ、あたしはっ!!!」 煮え切らない自分にイライラして、ばんばんと布団を叩く。 イライラしている最中に、ピンポンと来客の鐘が鳴る。 ユウがいなくなって、部屋にあたししかいない殺風景な部屋。 あたししかいないから、来客はあたしが出るしかない。 「誰よっ!!!!」 バンッといきおいよく開けられたドア。 「よう、いつも以上に荒れてんな」 バタンッと勢いよく閉められるドア。 な、なんで・・・なんで日向が女子寮に普通に出入りしてるの!? 「おーい開けてくれー」 「何しに来たのよ!」 「いや、お前が今日買い物行くから手伝えって言ったから来たんだろ・・・」 「そうだったかしら。」 「そうだよ・・・早く支度してくれ。」 支度・・・あ、服か。 あれ?あたし今・・・部屋着!? 「あんた・・・さっきあたしの姿見た?」 「見ました、部屋着でしたねぇ、早く支度してください。」 「あっそ」 なんなの、なんなのこいつの反応!!!! 普通女子の部屋着とか見たら顔真っ赤にして照れたりとかするもんじゃないの!? ドア越しだから照れてるのかわからないけど。 まぁ、こいつにそんな反応されたからってなんだって話なんだけど!! あぁ、余計イライラしてきた。 早く支度しよ。
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