承:始まる恋

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 初めての彼氏は、高2の時に出来た。  丁度恋愛ごとに興味の高かったアノ時代、告白をされたのだ。  特に好きだって感情もなかったけれど、嫌いでもなかった彼に告白されたことに有頂天になった私は、ほんの軽い気持ちで付き合い始めた。  私は夢を描いていたんだ、彼氏と付き合うってことはとっても楽しくて幸せなことなんだって。  そんな彼と知り合ったきっかけは、たまたまカラオケに遊びに行こうと友達と歩いていたところに、友達の友達である男の子の集団に街中で出くわして……ってありきたりな流れ。  そのまま友達は盛り上がってしまって、一緒にカラオケに行くことになった。  見ず知らずの男の子とカラオケに行くなんて経験は今までなくて、始めこそ緊張していたけれどなんとか私にも楽しむことが出来て、これからも一緒に行こうよってみんな盛り上がって……そんな風にして一緒にカラオケに行くことが何度か続いた。  そして3度目あたりに、ある一人に「俺個人と付き合わない?」って、初めての告白をされたんだ。  私は初めて受けた告白にただ驚いて、でも嬉しくて。  断わるなんて選択肢を考えることもなく、ただただ興味と喜びとでOKの返事をした。  ――けれど、彼の目的は……私の体だった。  数日後、ウキウキしながら初めて2人だけで迎えた放課後。  いつもみたいに駅前のマクドナルドで待ち合わせして  「待った?」  「今来たとこだよ」  みたいな王道をやった。差し出された手を頬を染めながら握って、話が弾まずに詰まりながら進む会話にドキドキしていた。  結局行くところはカラオケしか思いつかなくて、ぎこちないまま二人で過ごしながらも、こうやってちょっとずつ二人の時間を過ごしていったら距離が縮まっていくのかな? なんて未来に期待もしていた。  まだ、この時は。
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