序 第2話 ミーツガール。

1/21
前へ
/43ページ
次へ

序 第2話 ミーツガール。

【はじまりの都 ウエルシア】 綺麗な水色の光が 人形を形成する。 青白い光は徐々に失せ その人形は 相葉に姿を変えた。 相葉は辺りを見渡す。 壮大な青空の下。 地面はレンガのタイルで整備されており 相葉の足元には直径10メートルはある 魔方陣の様な円が描かれている。 その奇妙な円のある広場の先には 様々なNPCショップが建ち並んで いるのが見える。 始まりの都、ウエルシアは 初心者が長期間滞在することを 見込んでか栄えた町であった。 相葉は辺りの景色を納得するかの ように頷きながら一望のしたあと 軽快に指をパチンと鳴らした。 すると相葉の目の前に 青色のウィンドウが開かれた。 そのウィンドウに指をあて 左右にスライドさせたり タップしたりすると にんまり、相葉は笑ってみせた。 「うーーーーーーん……」 両手を広げ めいいっぱい、鼻で空気を吸い そして口からはく。 青々とした空の下、 清んだ空気が格別に美味しい。 暑くもなく寒くもない最適な気温。 なんと清々しいことか。 ウィンドウとは別に視線の左上に キャラクターネームとlevel、 そしてHPゲージが緑色の帯で 表示されている。 【AIBA level 1】 エブリスタ★オンラインは 従来のTVゲームのように アバター設定は出来ない。 PIOのシステムは人々の夢を 制御しリンクさせるものであり システム上、 自分に<自覚>がなければならない。 自分が自分と思う姿。 すなわち現実の姿にしかゲームとはいえ なれないのだ。 相葉がキャラクターネームを本名にしたのは 見た目を変えられないということと この世界は限りなく現実なのだ、 と思っているからだ。 そして この世界へのめり込むことを 現実逃避と 認めたくなかったからだ。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加