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「今の悲鳴だよな…?」
どこからか
女の悲鳴が確かに聞こえた。
誰かがモンスターに
襲われているのか。
助けにいくか?
いや、
ウルフ系相手であれば
俺が行っても
助けにはならない。
共倒れだ。
サービス開始からの
時間を考えると
ろくにチュートリアルを
聞かずにフィールドに
出てきた愚かなビギナーで
あろう。
助ける義理はないし
俺もデスペナルティは
頂けない。
「いぃやぁあぁあ!!」
声が近くなった。
大分近くまできている。
逃げまどっているのか。
「……………」
今ので殺られたかな。
「誰かぁー助けてー!」
まだ生きてたか。
誰かっていっても
俺くらいしかいないだろうな。
「きゃーっ!!
ってついてくんなよ!」
声がさらに近くなった。
口…悪いな。
「もう無理ー!!」
逃げ惑う女プレイヤーと
それを追いかけるモンスターの
姿が見えるほどに
距離は近付いていた。
あれは…
ウルフだ。
やれやれ…
ゲームの中でも
ここは擬似的な
現実みたいなものだ。
剣士たる俺としては
格好もつけたくはなる。
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