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「いかがなさいますか?」
机や椅子、戸棚など果たして
いくらするものなのか。
貴族の城内のような
気品さを感じさせるこの洋室では
豪華なシャンデリアが輝きを放ち
堂々と揺れている。
3人の男と1人の女の影が
大きく伸び縮みし
この落ち着かない洋室の雰囲気を
さらに異様なものにしている。
それにしてもこの男…
ただの執事ではなさそうだ。
いつもアイツに付いて回る
ただのお手伝いかと
思いきや、相当の敏捷力。
私ほどではないにしろ
全体的にレベルも高いに違いない。
なんせ
あの【ブラッド・ハウス】の
幹部をこうも簡単に
取り押さえ拘束しているのだから。
「テメェ!白虎!!てめぇは…いてっ」
グイッと音が聞こえそうなほどに
拘束の手はさらに強まり
【ブラッド・ハウス】の幹部の男は
言葉を止めた…。
「本望じゃないけど
本拠地を聞くまで
このままチェーンで拘束…
で尋問…
…かな?」
白虎と呼ばれるその男は
そう言うと、私に視線を送った。
それでいいのか、という
質問がその視線に隠されている。
私は呆れた様子で答えて見せる。
いつも通りに。
「大丈夫…私たちでもそうする。」
すると今度は
拘束されている男がこちらに視線を送りまたもや叫ぶ。
「おい…朱雀…てめぇもだ!
あの女みたいに
お前も永遠に眠りてーのか?!」
「…っ!あんたっ…」
こいつは私の逆鱗に触れた。
許すわけにはいかない。
物凄い勢いで頭に血が
のぼるのを感じながら
買い言葉を返す途中、
他の大きな声が室内を占領した。
「今すぐに追放しろ!!」
「御意。」
ピピピッ…
その音が聞こえたと思ったころには
拘束されている男は姿を消していた。
【追放】されたのだ。
「なんでこいつらは…」
【追放】を指示した男は
怒りと、悔しさをあらわにする。
「せっかくの情報源をごめんな。
これが俺らのやり方みたいだ…。」
無理をしてなのか。
にっこり私に笑いかける。
「いえ…ありがとう…。
そういうところで
熱くなれるやつで良かったわ。」
無愛想な言葉を吐き出す私に
ハハッとばつが悪そうに笑うコイツ。
の素性はさておき
さて、どうしたものか…。
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