序 第2話 ミーツガール。

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PIOは 一機につき150万円。 あいにく俺の家は 母子家庭なのもあって その額のゲーム機を 親に頼めるわけもなく 自ら稼いだお金で 購入した。 この歳の学生にして これだけの額を稼げたのには 理由がある。 「仕事探してるって聞いたけどやる? なんか兄貴の先輩経由の話で 俺が誘われてたんだけどさ。 別に今、金に焦ってないからさー。 相葉ちゃんがやるなら話してみるけど。」 2月に入り、計算する。 所詮カラオケの定員の給料では 到底150万など貯まらない。 「兄貴さんの先輩経由かあ…内容は?」 稼げる仕事がないかと 聞き回っていたところ 隣の中学の評判の悪い ヤツから声がかかった。 仕事の裏を想像せずには いられなかった。 「内容はやらないやつには 教えられないってゆうからさー。 金は確実に稼げるって言ってたぜ?」 上手い話には裏がある。 だが相葉がやるしかないと思ったのは どうしてもインターフェースが 欲しかったからだ。 相葉の家庭は両親と妹が1人の 4人家族だった。 相葉が小学3年生のある日 父親が35歳という若さで 姿を消した。 母は倒れ多くの マスコミが家に群がった。 「恨みを買っていて殺されたのよ。 また、家族も狙われるかもしれないわ。 うちの子が巻き添えをくらったら大変。 早く引っ越さないからしらねぇ?」 小さい俺にはよくわからなかった。 マスコミは時間の経過とともに いなくなっていた。 また同時に 俺達の家族には 友人と呼べる人間も 誰もいなくなっていた。 得体の知れないアルバイトをしてまで バーチャルインターフェースを 手に入れよう思ったのは こんな過去から逃げ出す場所が 欲しかったからだろうか。 自分の心の底など 自分ですら よく分からない。 「あなたも臨床試験者なの?」 このアイリという プレイヤーからしても 同様に安い代物ではない。 容姿やこのふてぶてしい 態度からして おそらく同い年くらいで あることは間違いない。 俺と同様に 得体の知れない 臨床試験から 高収入を得て やっとのことで 購入に至ったのだろう。 その度胸は普通の高校生には 持ち得ない。 この娘は 心の底に何かを かかえているのだろうか。
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