序 第2話 ミーツガール。

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「ギャアァアァ!!」 白虎が悲鳴をあげ 天井に向かって吠えると同時に 今度は白虎のHPゲージが スー…っと減少した。 PTプレイの上級テクニック ダブルチェイン。 攻撃を合間なく 繰り出すことで システムに認識されると 【コンビネーションチェイン】として 追加ダメージを与えることが出来る。 そのまた1つ手数を増やす 【ダブルチェイン】という 上級テクニックが要される コンビネーション技を 相葉とアイリは白虎との戦闘中に 何度も放っていた。 白虎の体をまとっていた光が 再度輝きを取り戻したことで スタン効果が切れたことを確認すると 2人は一斉に白虎から距離をとる。 グルル…と白色の息を吐きながら 赤い眼光を向ける白虎に対し 相葉は片手剣を構え直しにらみ返す。 こんなおっかない 怪物を相手に立ち向かえるのは あくまでもゲームだからという 認識があることと ゲーム内でのこのスキルが あるからではある。 「あと半分!いけるよ!」 「あぁ…このまま落とす!!」 何故、無謀にも開始3時間にして レアクエストである 白虎討伐をこの2人が試みているか だが 話は2時間程前、 第2線解放アナウンスの 後にさかのぼる。 「貴方のお友達の話でもちきりね。」 喫茶店の椅子に座り ストローを口で加えながらアイリは つまらなさそうな顔をしていた。 同じ臨床試験者が 予想だにしない早さで 誰もが驚くことを やってのけた。 それも1人で。 この喫茶店へ向かう道中に すれ違うどのプレイヤーも IRIHOの話ばかりしていたのが どうやら不服らしい。 「友達ってほどじゃない。 臨床試験中に情報交換をしただけだ。」 予想通り、というか 見たまんま、というか 典型的な負けず嫌いだな。 ゲーム内でもこれだ。 現実ではどのように 過ごしているのやら。 相葉はそんなアイリをまたもや 観察するかのように傍観している。 そして喫茶店といえど まだゲームの中。 【追放】だと脅されないように 慌てて視線をそらす。 傍観している程度では 実際に追放されないものの 気分は悪くはなる。 「ふーん…で第2線は あと数時間でアップデートされて 解放されるんでしょ? こんな喫茶店でゆっくりしてて いいのかしら。」 「まあな… 今頃他のプレイヤー達は 第2線に早くも追い付こうと レベリングに没頭してるな。」 つまらなさそうなアイリの顔が 今度は少しムッとした顔になる。
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