序 第1話 オヤスミナサイ。

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ハハッ… これ程に注目されながら 話すのは気が引けるな。 なんの話をしようか。 あぁ、うちの商品の話か。 開発に至った経緯? 君達に上手く伝えられるか 分からないが… 確かに… 人類は携帯端末を初め 様々な開発を行ってきた。 それも物凄い勢いで。 だが その勢いはとどまり、 数年もの間は 既存するものの 改良や進化だけだ。 新しい「何か」を 生み出せない時代が続いていた。 そこで世間を大きく騒がせようと このバーチャルインターフェースを 私は開発したのかも知れない。 現在では知らない人は いないだろう。 睡眠状態の人間に この装置を装着することで 脳からの電気をくみ取ること、 またその逆に電気を流すことが 可能となったのだ。 その結果… 睡眠時に見る夢の世界を 自由に創設し、その創られた世界で 過ごせるようになった、 ということだ。 自由に創設といっても 誰にでも…と いうわけではないが。 膨大な容量のコンピューターで 膨大な時間と費用が必要とされる。 そのコンピューターも 制御しつづける必要も あるわけだ。 到底一般人には作れまい。 創設された夢の世界を 【DMO】と総称する。 DMOは グローバル接続さえすれば 他人とも共有することが可能。 社会貢献を果たすであろうと 噂がされてはいたのは知っていた。 知ってはいたが まぁ私がこの バーチャルインターフェースで まず始めに作った プログラムは いわゆる ゲームの世界だ。 君達も幼い頃 夢に見たのではないか? 現実とゲームの世界が 1つになることを。 その世界で 現実を超越することを。 バーチャルインターフェースと 銘打ったが、 これはもはやバーチャルではないよ。 人間には心があると言われているが 医学的には全て脳によるものだ。 五感で感じたものが脳へと伝わり それが現実として 受け入れられるのならば、 DMOは現実そのもの。 脳がそう感じとれば それは現実となるのだから。 私はもう1つの現実世界を 作り上げたのだ。
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