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あと少し。
駆け足で階段を上がり二階、
そして自分の部屋に入った。
角部屋にあたる彼の部屋には
二面に大きめな出窓があり
その一つの出窓のスペースには
たくさんの機器がならんでいる。
一見、オーディオコンポのような
黒で統一されたその機器こそが
バーチャルインターフェースの
ハードである【PIO】(ピオ)だ。
高校生である少年は
家族を見送った後に家を出ずにいた。
この日に限っては学校をサボろうと
決めていたのだ。
こんな凄いことが今日から
始まるってのに…
学校なんていってられるか。
机に学生証を放り投げる。
しばし、学生証に写る自分の
写真を見つめ、ため息をついた。
しかしまぁ無愛想な
写真が使われたものだ。
中途半端な髪の長さ…
上手く言えば、ミディアムヘア。
ぼさぼさな髪型…
上手く言えば、フワリとした無造作ヘア。
強ばった目付き…
上手く言えば、少し鋭い?
不健康な肌色…
上手く言えば美白。
軟弱な顔、体つき…
上手く言えば…
スタイル良くて小顔。
これは単に…
写真移りが悪い。
身長だって平均以上で
172-3㎝はあるはずだ。
恋愛沙汰のハプニングが
自分にこうも訪れないのには
納得がいかない。
うん…もう自問自答は
これまでにしておこう。
相葉は一人ながらに
恥じらいの自念により頬を赤らめた。
【相葉】
彼もまた、この物語の
歯車の1つとなる。
ニュースでの発表を見て以来
どうしても手に入れたい…
その思いから
極力短期間で多くの収入が
得られるアルバイトを探し
すぐさま始めた。
それから
ハードであるPIOの発売まで
約半年と何日間かあったが
その間で
相葉はPIOを購入出来るまでの
お金を稼ぎ貯蓄していた。
もちろん
安い品物ではない。
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