Act.1 幸せな日々。

3/5
前へ
/98ページ
次へ
「じゃあな、想!!」 「あぁ、また明日。」 下校の時刻となり、想がまっすぐ校門に向かうのに対し、サッカー部の光太郎は練習着に着替え、グランドに走っていった。 「あ、いたいた!想~!!」 明るい声と弾けんばかりの笑顔で、手を振りながら駆け寄る少女。 その声に反応し、振り返った想は、手を軽く挙げ応える。 少女の名は久遠 ユリア(クオン ユリア)。 想の愛する彼女だ。 ユリアが追いつくと、想はユリアと歩き出した。 「見たよ~♪ 想、また学年1位だったね~★」 再び頬を赤く染める。 「ユリア~」 「ハハハっ、わかってるって! ホント、想は昔から変わらないね~」 想を見て無邪気に笑うユリア。 想とユリアは、小さい頃からの幼馴染みで、幼稚園から小・中・高とずっと一緒で、気付いた時には付き合っていた…という感じで、いつから付き合いだしたのかとかは定かではない。 「あーあ、私も瞬君みたいに、想に家庭教師頼みたいよ~」 そう言いながら、プゥと頬を膨らますユリア。 「…じゃ…じゃあ、今度教えるよっ!」 想はユリアを見て、少し焦りながら答えた。 それを聞くと、ユリアはニコッと笑い、想の腕に自分の腕を絡ませた。 「ありがと!想だーい好きっ!!」 「………………」 想は、顔を真っ赤にして、頬をポリポリかいて、青々とした空を見上げた。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加