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『先程、日本時間で午後7時20分頃…
アメリカの象徴、自由の女神が何者かによるテロにより、爆破され、同時刻にニューヨークの街のビル群も爆破されるという大規模なテロ事件が発生しました。
現時点でのテロ組織からの声明文は発表されておらず、アメリカ当局ではテロ組織の特定に全力を尽くしているとの事です。』
「えぇっ、またテロ?」
瞬はニュースを見ながら、不満たらたらに言った。
「これじゃ、他の局もこの報道だけだな。
…にしても、随分と派手な事してくれてるな…」
「ホント…気の毒な話ね~。」
父親の言葉に母親が続く。
「…………………」
しかし、想はそのニュースを凝視して、何も言わなかった。
「ん!?お兄ちゃん?どうしたの~?」
瞬がそれに気付き、想の目の前で手を振った。
「……ん!?あ、いやなんでもないさ!」
瞬に気付き、薄ら笑いしながら焦り答える。
だが、想はこの時妙な感じがしていた…
このテロ事件…何か変だと…。
テロ警戒が厳重なアメリカで、なぜこうも易々と大規模なテロ事件が起きたのか…
…―まさか犯人は、人間じゃないのではないか!?―…
そんな考えが、ふと頭をよぎったが、あまりに突拍子もない想像に、思わず一人で吹き出し笑いをしてしまった。
「お…お兄ちゃん…急に一人で笑うなんて、なんか怖いよ……。」
瞬の視線が痛くて、想は咳払いをして、食事を再開した。
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