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「おはよう、ユリア」
「おはよう…想。」
次の日…アメリカでどんな大きな事件が起きようと、日本に住む想達には、変わらぬ朝が訪れてた。
想はユリアといつものように待ち合わせをし、登校をしていた。
…しかし、ユリアはいつもより、元気がなかった。
「どうしたの?ユリア…」
「想、昨日のニュース見た?」
ユリアは表情を曇らせている。
「あぁ…昨日はどこの局も、あのテロ事件で持ち切りだったからね…」
想は、ユリアの表情をうかがいながら答えた。
「…………想…私、怖いよ。」
ユリアはうつむきながら言った。
まるで今にも泣きそうな声だ…
「……………」
想は、ユリアの様子がおかしい原因がわかったが、何と答えていいのか、少し考えた。
「………大丈夫…」
「え?」
想が考えた末に、絞り出すように言ったセリフにユリアは反応した。
「大丈夫。…確かにアメリカは大変だと思うけど、日本にまで影響は無いハズ…
それに、ユリアがそんな輩に襲われそうになったら…………」
想は、そこまで言いかけて、顔を赤らめ言葉を発するのを止めた。
「…襲われそうになったら?」
ユリアは不思議そうに、想に聞く。
「………襲われそうに……なったら…………ユリアは…オレが……
オレが守るよ!」
「…想…」
顔を真っ赤にして言う想に、ユリアも顔を赤く染め…ほほ笑んだ。
「朝からお熱いね~、お二人さん♪」
「「っ!!!!!!」」
そんな二人の後から、いつの間にか追いついた、光太郎が声をかけ、二人はビクッとした。
「こ・光太郎…いつの間に…」
「へへっ!
なぁ久遠さん、想がこう言ってるんだ。元気だしなよ!
…オレより付き合い長い久遠さんなら知ってるハズだぜ?
想は、約束を絶対破らない奴だってな!!」
そう言って親指を立てて見せる光太郎。
「光太郎…」
「そうだね…うん!
私、想のそういう所を好きになったんだもん。」
元気を取り戻したユリアは、そう言うと想と腕を絡ませた。
当然想は、光太郎の前でそんな事をされて、卒倒しかけるくらい、顔を真っ赤にさせた。
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