143人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
このところ残業も無い、今日は飯を作ってやろうと思い、仕事帰りにスーパーへ。その場で裕輔に電話する。何が食べたいか聞く為だ。
裕輔の携帯は繋がらなかった。今日は遅いのだろうか?夜食のような軽食だけを買って家に帰った。
やっぱりまだ帰っていない。
昨日の話を聞きたかったのに・・・ベッドはきちんと整えられてい部屋も片づけてある。
ちゃんとできるようになったな・・・最初は失敗ばかりだったが、家事一般は仕込んでどこにでも嫁に出せそうだ。
スーツを掛け、ズボンをプレス機にかける。ジャージに着替えても食欲がわかない。
ベッドに寝っ転がって本を読んで裕輔を待つことにした。枕には裕輔の匂いがする。
そのうちうたた寝をしてしまった。裕輔の臭いにつつまれて安心してしまったせいか?いつの間にか布団が掛かっていた。
「裕輔?」
部屋に裕輔はいない。土曜日の朝になってしまった。
昨日も会えず仕舞い・・・。いてもたってもいられずに大学に足が向いていた。
「医学部の方はどっちだ?」
人に聞きつつ探し回った。医学部の生徒に行きあたる。
「ああ、岡崎なら岩田教授の所に呼び出しかかってましたけど・・・」
館内の岩田教授のゼミを探してみる。ここか・・・岩田ゼミ。中から話声がする・・・。
「ちょっと待って下さい」
「いいチャンスなんだ。うちとしても優秀な生徒を出したい。ぜひ君に行ってほしいんだ」
「まだ家族と相談していないんです」
「早急に相談して返事をしてくれ、期限は明日の午前中だ。それ以上は待てない」
「わかりました。教授の携帯の方にお返事します」
「よろしい」
裕輔の声だった・・・出す?返事?家族?頭の中がパニックだ。裕輔が出てくる・・・小声で「裕輔・・・」と呼んだ。
「航耶さん、どうしてここへ?」
「昨日、話出来なかったから。休みだし、お前に会おうと思って」
「じゃあ、飯でも食ってから帰ろう」
ふたりで大学を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!